【介護福祉士】第37回・問題1、第32回・問題1、第30回・問題2「アドボカシー」について【過去問解説】

人間の尊厳と自立

こんにちは、しょうです。

今回の問題を見ていきましょう!

問題1

問題1 次の記述のうち,介護福祉職がアドボカシー(advocacy)の視点から行う対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 介護を行う前には,利用者に十分な説明をして同意を得る。
2 利用者の介護計画を作成するときに,他職種に専門的な助言を求める。 3 利用者個人の趣味を生かして,レクリエーション活動を行う。
4 希望を言い出しにくい利用者の意思をくみ取り,その実現に向けて働きかける。
5 視覚障害者が必要とする情報を,利用しやすいようにする。

引用:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回介護福祉士国家試験

正解

4 希望を言い出しにくい利用者の意思をくみ取り,その実現に向けて働きかける。

解説

ドボカシー(擁護・代弁)とは?
本人が自分の意見をうまく言えないときに、その人の立場に立ち、意思や権利を代弁し支援する行為のこと

つまり、「◯4 希望を言い出しにくい利用者の意思をくみ取り,その実現に向けて働きかける。」は正解となる

なぜアドボカシーが重要か?
・高齢者や障害のある人は、周囲に気をつかったり、
・自分の気持ちを表現しにくい傾向がある
「この人は本当はこうしたいんじゃないか?」
「この希望が無視されていないか?」など

こういったことが考えられるため、利用者の思いを汲み取り守ろうとする姿勢が重要といえる

アドボカシーの基本姿勢
・利用者の声を聴くこと
・利用者の意思を尊重すること
・必要に応じて周囲に働きかけること

アドボカシーの例
・利用者が「何でもいいよ」と言う
 →表情や過去の会話から本音をくみ取り、希望を伝える
・痛みを訴えても取り合ってもらえない
 →医師や家族に本人の苦痛を伝え、対応を求める
・サービスに不満があるが言いづらい
 →本人に代わり、事業所に伝えて改善を促す

他の解説

×1 介護を行う前には,利用者に十分な説明をして同意を得る。

インフォームド・コンセントの説明

×2 利用者の介護計画を作成するときに,他職種に専門的な助言を求める。

チームアプローチや多職種連携に関する対応の説明

×3 利用者個人の趣味を生かして,レクリエーション活動を行う。

個別性の尊重としては良いことだが、「希望を代弁する」視点が不足している

×5 視覚障害者が必要とする情報を,利用しやすいようにする。

情報提供の工夫は重要だが、これはバリアフリーやユニバーサルデザインの配慮である

問題2

問題1 利用者の意思を代弁することを表す用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 インフォームドコンセント(informed consent)
2 ストレングス(strength)
3 パターナリズム(paternalism)
4 エンパワメント(empowerment)
5 アドボカシー(advocacy)

引用:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第32回介護福祉士国家試験

正解

5 アドボカシー(advocacy)

解説

アドボカシー(擁護・代弁)とは?
本人が自分の意見をうまく言えないときに、その人の立場に立ち、意思や権利を代弁し支援する行為のこと

つまり、「5 利用者の意思を代弁すること」が正解となる

アドボカシーの実践にあたって重要な視点
①本人中心・意思の尊重
②傾聴と共感
③倫理的配慮と守秘義務

他の解説

×1 インフォームドコンセント(informed consent)

・説明と同意などと訳され、医療や介護サービスにおいて、本人に十分な情報を提供したうえで同意を得ることを意味する
・本人が意思決定することを支援する考え方

×2 ストレングス(strength)

強み・長所などと訳され、能力や意欲、その人が有する社会資源など、その人が持っている力のこと
・利用者自身が持つ力に注目する視点

×3 パターナリズム(paternalism)

・父権主義などと訳され、本人の意思よりも「善かれ」と思って専門職や家族が決定してしまうような考え方
・一見善意でも、「本人の意思を代弁する」どころか、無視してしまう行動となる

×4 エンパワメント(empowerment)

力を引き出す支援などと訳され、利用者が本来持っている力を発揮できるよう支援する考え方
・本人が自ら意思を表現する力を高める支援

問題3

問題2 Aさん(65歳、男性、要介護2)は、昨年、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。妻は既に亡くなり、娘のBさん(35歳)は遠方に嫁いでいる。Aさんは、現在、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)で生活している。Aさんは介護福祉職に対して、「Bは頭もいいし、かわいいし、きっと妻に似たんだな」とよく話していた。
Bさんが面会に来た時「誰だい。ご親切にありがとうございます」というAさんの声と、「私はあなたの娘のBよ、忘れちゃったの」「お父さん、しっかりしてよ」と怒鳴るBさんの声が部屋から聞こえた。
介護福祉職がAさんへのアドボカシー(advocacy)の視点からBさんに行う対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 Aさんへの行動は間違っていると話す。
2 Bさんに対するAさんの思いを話す。
3 Aさんの成年後見制度の利用を勧める。
4 Aさんとはしばらく面会しないように話す。
5 Bさんの思いをAさんに伝えると話す。

引用:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第30回介護福祉士国家試験

正解

Bさんに対するAさんの思いを話す。

解説

今回の場面(Aさん)について
・認知症の進行により、B(娘)さんを認識できなくなっている
・ショックを受けた娘さんは、「しっかりしてよ」と怒鳴ってしまっている

ここで介護福祉職に求められるのは?
「AさんはB(娘)さんのことをとても大切に思っていた」という気持ちを、怒ってしまったBさんに伝えること
(=「2 Bさんに対するAさんの思いを話す。」が正解)

例)
・「びっくりされたんですね。Aさんも、いつも『B(娘)は頭がよくてかわいい、妻に似ている』って嬉しそうに話しておられましたよ。」
・「今日はちょっと戸惑っておられるようですが、以前からB(娘)さんのこと、本当に愛情深く話されていましたよ。」

他の解説

×1 Aさんへの行動は間違っていると話す。

価値観の押しつけであり、Bさんを非難してしまう言い方
・感情的になっているBさんに寄り添う姿勢が欠けている

×3 Aさんの成年後見制度の利用を勧める。

成年後見制度は財産管理や契約の支援であり、今回の感情的対応とは無関係

×4 Aさんとはしばらく面会しないように話す。

面会の機会を奪うのは、Aさんにとっても不利益であり、アドボカシーに反する

×5 Bさんの思いをAさんに伝えると話す。

代弁すべきはAさんの思いであり、Bさんが怒鳴った思いを伝えると、Aさんをさらに混乱・傷つける恐れがある

おわりに

今回は以上です。次回もお楽しみに!

特定の内容のまとめを作って欲しい、この問題の解説をしてほしい、などご要望等あればぜひコメント等書いていただけると、今後のコンテンツ作成の参考になりますのでぜひお待ちしております。

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